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14歳の時に交通事故に遭い、昏睡状態が続いていた豊が10年の眠りから突然覚めた。しかし、彼を出迎えたのは懐かしい家族ではなく、藤森という風変わりな中年男だった。産廃処理業を営む藤森は豊の父・真一郎の友人で、離散した豊の家族に代わって数年前から東京郊外にある豊の家の一部を釣り堀に改造して暮らしているらしい。藤森に連れられて、すっかり変わり果てた家に帰る豊。彼は心のリハビリを兼ねて、かつての友人たちに会って失われた時間を取り戻そうとするが、既に成人している友人たちとの溝は埋められる筈もなく、ひとりやりきれなさに苛まれるばかりであった。・・・
西島秀俊が見たくて観ましたw
以前深夜にテレビでやっていて、そのときは観なかったんですけど、なにか気になる感じの映画だったので今回じっくりと観させていただきました。
監督は先日観た「CURE」と同じ黒沢清。なもんで、何事もはっきり描写せず、それだけ深く考えさせられる作品だったと思います。
「24歳の14歳」を演じる西島さんの演技は非常に良かったのではないかと思います。
淡々と事実のみを、少し突き放して描くこの作品のタッチも○。
以下ネタバレなので、続きを読みたい人は注意。
豊(西島秀俊)は、一つの奇跡だったのではないかと思います。または天使。
昏睡から目覚めたとき、医師から「奇跡的だ」といわれたその言葉どうりに、彼は離散した家族を再びめぐり合わせる奇跡になったんだと思います。
しかし、つかの間の家族団欒はあったとはいえ、結果的には元には戻らない家族というのが、これまた現実的です。
豊が「もう一度、一瞬でもいいから、みんなが集まることがあるのかな」と言っていますが、「父の乗った船が事故に巻き込まれ、無事が確認されてテレビに映る、それを見るほかの3人」というシーンがそれにあたるのかな?と、観ながら思ったんですが、違いました。
皮肉にも、ラストの豊の葬式でそれが実現するんですね。なんか悲しい。
いろいろと難しい映画ではあります。
果たして豊は、死ななかったとして、ちゃんと普通に生きていくことができたのか・・・ある意味、彼にとってはこれで良かったのかも、なんてことも思います。
そして、本来は一生昏睡状態であったと思われる彼が、少しの間でも目覚めたということは、ラストシーンを観たあとには、それはそれで意味があったんだろうな、とか。
観終わったあとも、なにか心に残る映画ですね。
直後よりも、一度思い返して感想を書いている今、泣きそうです。
いい映画です。
そして、豊と藤森の最期のやりとりが胸に残ります。
「俺存在した?ちゃんと存在した?」
「ああ、お前は確実に存在した」
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